※本編のネタバレあります。未読の方はご注意くださいm(__)m
こんにちは、たまやんです。
IDW社がトランスフォーマー(以下、TF)のライセンスを手放すと発表した時は、一時期どうなるのかと思いました。しかし、Image Comics社とSkybound EntertainmentがTF(とG.I.ジョー)のライセンスを獲得。
新たなアメコミTFは、一体どんなストーリー展開になるのか。不安と期待の気持ち半々で6話まで読みましたが、
初代TF(アニメ・マーベルコミック)の設定を踏襲しながらも、新しい世界観のアメコミTFが始まった、と思いました。
つまり、面白いの一言に尽きます(ニチャア)。
……ですが、ゴア表現が多いっ!です。
正直、万人受けするような絵柄とストーリーではありません(苦笑)。
でも、私は好きです(`・ω・´)bグッ
登場人物はお馴染みのキャラクターが勢揃い!と言いたいところですが、絶妙に読者の期待を裏切ってきます。良い意味で。
さて、今回はアメコミのSkybound版TF♯1の感想・考察を本編ネタバレありで書いていこうと思います。
「オプティマスプライム(コンボイ)などの名称に関しては、全て海外版の名称で統一しています。」
出典:Image Comics『Transformers』#1 著.Daniel Warren Johnson
【あらすじ】
高校生のスパイクは、満月を見るために兄の望遠鏡を片手に、ガールフレンドのカーリーと見晴らしの良い場所を求めて山に登る。山頂に到り着いた2人だったが、突如として地震が起こり、山は二つに割れ、地割れに巻き込まれてしまう。深い割れ目に落ちた先で、彼らはオートボットの宇宙船アークとその中に横たわる巨大なロボット、TFたちを発見する。
【本編の感想・考察】
- 「スパーキーとスパイク」
ストーリー冒頭は、地球人のスパーキー(スパークプラグ)とその息子のスパイクが登場します。息子の様子からスパーキーはよく行きつけの酒場に入り浸っているようです。
特に作中で明言されていませんが、恐らくもう1人の息子である宇宙飛行士のジミーを事故で亡くしてから、スパーキーは自暴自棄気味で、酒に逃避していると思われます。
この親子の関係はジミーの死をきっかけに、少しギクシャクしているように感じます。酔っ払いの父親を見るスパイクの表情は、嫌悪感ダダ漏れです。
出典:Image Comics『Transformers』#1 著.Daniel Warren Johnson
- 「ジミーの事故死の原因について」
あくまで私の考察ですが、このジミーの事故死はスペースシャトルの打ち上げに失敗して、帰らぬ人になったと思われます。スパーキーの回想っぽい一コマに、スペースシャトルが空中で爆発しているように見えます。
試しにアメリカ、宇宙船、事故でググってみたところ「チャレンジャー号爆発事故」がヒットしました。多分、ジミーの事故死はこの爆発事故と同じ要因、参考にしたのではないでしょうか。
wikiによると打ち上げから73秒後にシャトルが空中分解し、乗組員7人が亡くなっています。
私はジミーの死にはTFが絡んでいる気がします。根拠はないですが、お話的にはそっちの方が面白いと思います。
- 「Skybound版TFの時代設定」
今作の時代設定は作中で明かされていません。ですが、1980年代後半ぐらいだと私は考えています。
その根拠の一つは、ジミーの事故死が「チャレンジャー号爆発事故」を参考にしているのなら、1986年となります。
更に時代設定の根拠として、スパイクの格好が何処となく『バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)』の主人公マーティに似ているからです(笑)。ジャケットの色とか、すごく似てません?
- 「スパイクとカーリー」
スパイクは兄の形見である望遠鏡を持って、カーリーと満月を見に、見晴らしの良い場所を求めてハンガーズロックの山頂へ向かいます。そして将来のことを語り合う2人。
スパイクはカルフォルニア大学バークレー校に受かったこと、兄のジミーと同じ宇宙飛行士になりたいことを父のスパーキーに話せずにいます。
一方でカーリーは美術系の専門学校を志望していますが、学費の工面で父親と苦労しているそうです。この時のカーリーの台詞から母親のことは一つも触れられていません(スパイクもですが)。彼女の家庭は、少々複雑な事情があるのでしょうか?
恐らくですが「別の惑星にいることにしよう」という会話もそうしですし、2人で満月を見に行くのも、一種の現実逃避なのかもしれません。
アニメでは火山の噴火でテレトラン1が起動し、アークに眠っていたTFたちを敵味方構わずリペアするのですが、Skybound版ではジェットファイアーがテレトラン1を修理し、TFたちを目覚めさせます。
ジェットファイアーはテレトラン1で友人のスタースクリームを最初に目覚めさせます。どうやらオートボットとディセプティコンの戦争が始まる前にサイバトロン星から何世紀も離れていたせいで、現在の故郷の情勢を何も知らなかったようです。
そもそもジェットファイアーは、何故サイバトロン星を戦前から離れていたのでしょうか?宇宙探索に夢中になって、帰るのを忘れたとかですかね?
それと気になることが、もう一つ。スパーキーが通う酒場で、常連客のジェリーという男が「白と赤の戦闘機が宇宙から降りてくるのを見た!」と騒いでいました。明らかにジェットファイアーのことを言っています。
彼は地球に最近やってきたのか、それともずっと昔から、何千年も前からアークに眠る友人たちを目覚めさせるために宇宙中を奔走していたのか。分かりませんが、恐らく後者な気がします。
結局のところ、ジェットファイアーはスタースクリーム十八番の裏切りに遭い、重症を負わされた訳ですが…。
出典:Image Comics『Transformers』#1 著.Daniel Warren Johnson
- 「司令官、復活」
ジェットファイアーの判断ミスもありましたが、彼がテレトラン1を修復してくれたおかげで、オートボットのオプティマスプライム(以下、オプティマス)と軍医のラチェットが復活し、スタースクリームを追い詰めます。
オプティマスからプロレス技を2回受け、ラチェットから足蹴りを受けて、スタースクリームは踏んだり蹴ったりと散々です。
- 「ディセプティコンの猛攻」
…ですが、今作のテレトラン1もだいぶポンコツのようです。スタースクリーム以外のディセプティコンたち(航空兵のスカイワープと情報参謀のサウンドウェーブ)が活動を再会させ、圧倒的な武力でアークを制圧します。
形勢不利となったオートボット。オプティマスは敵の増援を防ぐ為にテレトラン1をやむなく破壊。彼はラチェットと行動不能の仲間たち、TFたちの争いに巻き込まれてしまったスパイクとカーリーと共に アークから離れざるを得ない状況になります。
その後、 スパイクの案内で、オートボットは放棄された採石場に避難します。
今作のオートボットとディセプティコンは、元民間用ロボットvs軍事用ロボットの対立なのでしょうか。それについては、2話の感想で触れてみたいと思います。
- 「パシられるスタースクリーム」
スタースクリームとスカイワープは逃げるオートボットを追撃しますが、スカイワープがエネルギー切れを訴えたため途中で断念します。
スタースクリームたちはオートボットの宇宙船を手に入れましたが、 テレトラン1の修理や仲間たちのエネルギー源の確保など、問題が山積みです。
スタースクリーム以外のメンバーはエネルギー不足で動けません。「エネルギーを何処かから奪ってこい。」と2人からの無言の圧力と催促に、愚か者は耐えきれなかったのでしょう。不満を漏らしながら、スタースクリームはスパーキーが勤める発電所を強襲するのでした。
↓ここからは1話で登場して、気になったキャラのキャラ語りです。自己満です。
【ジェットファイアー】
上記で殆ど語ってしまいましたが、今作のジェットファイアーも友人思いの良いやつでしたね。ただ、少し天然と言いますか、無知は恐ろしいと言いますか…。
親友だからって、スタースクリームを先に目覚めさせるのはダメでしょう(苦笑)。
あと1話だけの出番なのが、実に惜しいです!すぐにご退場というのは、勿体無いですね…。
【スタースクリーム】
スタースクリームの性格に至っては、ニューリーダー病は通常運転です(笑)。それから人望もあまり無さそう。
ただ、個人的な意見ですけど、歴代のスタースクリームの中でSkybound版は特に「傲慢で幼稚な愚か者」であることを強調して描いている気がします。
初めて見る人間を躊躇なく手で握り潰す辺り、スタースクリームは蟻を足でプチプチと潰す無邪気な子どもと同じです。
刺激を求めてディセプティコンに入った元科学者という設定が、今作でも活かされているのなら、Skybound版のスタースクリームは潜在的なサイコパスなのかもしれません…。
戦争が始まる前までは、ジェットファイアーたちにはハンサム(笑)で話の面白い「良い人」として振る舞っていたのでしょう。
【オプティマスプライム】
オプティマスはオートボットの頼もしいリーダーですかね。初代アニメのように決断力に長け、肉弾戦にも強いようです。
マトリクスに選ばれただけあって、オプティマスは仲間たちだけではなく、初対面のスパイクたちも見捨てません。ちゃんと主人公ムーブやってます。
ただ、自分の原動力と言えるマトリクスで瀕死のジェットファイアーを躊躇なく助けようとする辺り、自己犠牲を厭わないヒーローのようです。
【ラチェット】
そして私の推しの1人、ラチェット。今作の彼は初代アニメと同様に武闘派軍医のようです(笑)。スタースクリームに足蹴りする辺り、戦場慣れしていますね。
そして、重症のジェットファイアーの対応を見る限り、もう助かる見込みがないと判断したら、潔く諦める性格のようです。まさにプロの軍医さんでしょうね。
重症だろうが、(マトリクスで)誰でも助けようとするオプティマスとは正反対です。
出典:Image Comic『Transformers』#1 著.Daniel Warren Johnson
【スカイワープ】
初代アニメではアークで一番最初に目覚めるディセプティコンでした。Skybound版では3、4番目ぐらいで復活。1話のディセプティコンメンバーのカバーイラスト(上記参照)のスカイワープが、良い顔(仏頂面)をしていたので購入しました。
読む前は硬派なイメージがあったのですが、既読後はそうでもなかったです。好戦的で陽キャな不良といった感じでしょうか。正直、現実で絡まれたくないタイプです。
【サウンドウェーブ】
スタースクリームがスカイワープに指示するぐらいです。ディセプティコンで一番頼りになる存在なのでしょう。自分の部下のラヴィッジを大切そうに抱えているところを見ると、部下思いの性格のようです。
大体のシリーズにおいても、サウンドウェーブはメガトロンの忠臣、有能な片腕(そして陰険)と知られています。今作でも同じポジションだと思われます。
流石の出来る男も問題を幾つも抱えていたら、「あの人が居れば…」と頼りになるリーダーの名前を言いたくなりますよ。
【サンダークラッカー】
残念ながら、もう1人の私の推しであるサンダークラッカーは、復活しかけた直後にテレトラン1を破壊され、再びスクラップに…。まさか1話で推しの出番が終わるとは思わず、物凄いショックを受けました。読んだ後は暫く心が張り裂けるような気持ちでしたが……。
【バンブルビーとメガトロン】
まさかの人気キャラたちの不在です。 もはやファンたちにとっては悲しみを通り越して、虚無なのではないでしょうか…?この先、彼らの出番はあるか否か。私はあって欲しいです。
【スパーキー(スパークプラグ)】
ところで彼は戦争を経験しているようですが、ベトナムの帰還兵なのでしょうか?一番最初のコマから『フルメタル・ジャケット(1987)』の「 逃げる奴はベトコンだ! 逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ!」を思い出しました。
1話冒頭でオプティマス?の回想と交互にスパークプラグの回想(もしくは夢)が描かれています。なんだかコマ割りが意味深ですねぇ。
【スパイク】
彼の宇宙飛行士の夢は実現してほしいですね。もしかしたら、オプティマスたちと一緒に宇宙(サイバトロン星)へ行くのではないかと予想しています。
それにしても、凄い頭が良いみたいですね。wikiで調べたら、カルフォルニア大学バークレー校はハーバード、ケンブリッジに次ぐ名門大学だそうです。それほど兄と同じ道を進みたいという執念を感じさせます。
【カーリー】
「大学の学費を父親と一緒に貯めてるの」と言っていましたが、母親は?と思いました。彼女は意外に闇が深い気がします。母親と死別したのでしょうか…。
Skybound版TFのクセのある絵については、個人的に巧い!と思いました。
素人の感想で恐縮ですが、読者にここぞと見せるコマで魅せるキャラを描き、人体のパースに全く狂いがないと感じます。作画担当の人の画力はかなり高いと思いました。戦闘シーンのコマはどれも格好良く、迫力もあります。暫くページを捲るのを止めて、満足するまで眺めてしまいます。
あと作画担当の人の趣味なのか、プロレス技を何度も決めるオプティマスは爽快です。いずれかはキン肉バスターとか、パロスペシャルをやりかねない勢いがあります。
出典:Image Comic『Transformers』#1 著.Daniel Warren Johnson
以上、Skybound版トランスフォーマー#1の感想でした。
【参考資料】
- Image Comics『Transformers』#1
- Transformers (2023) issue 1 - Transformers Wiki
- wiki「チャレンジャー号爆発事故」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%25E3%2583%2581%25E3%2583%25A3%25E3%2583%25AC%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B8%25E3%2583%25A3%25E3%2583%25BC%25E5%258F%25B7%25E7%2588%2586%25E7%2599%25BA%25E4%25BA%258B%25E6%2595%2585